Think! Living Lab

新しい暮らし方、みんなで考えよう!

Think! Living Labは、
これからに求めたい暮らし、生活、住まいについて、
みんなで一緒に考え、取り組む活動です。

生活共創をコンセプトに関電不動産開発がお届けする
総戸数462戸の大規模マンションプロジェクト、始動。

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KANDAIMeRISE × Think!LivingLab Future Meeting
「ちょっと未来の豊かな暮らし」
イベントリポート【後編】

アナログなコミュニケーションにコストをかけられるのが、
豊かな暮らし。

2人目のインスピレーショントークは、ストーリーテラーとりやまみゆき氏。
東京大学名誉教授見田宗介の孫弟子として社会学を学び、伝統工芸品のプロデュース、多数企業の戦略支援やIT分野でのプロデュース、
宇宙ハッカソン、絵本作家、経済産業省や大阪府からの事業認定など、実に幅広い分野で活躍する女性です。

経産省の認定要件によると、伝統工芸品とは、主として日常生活で使用するもので、100年以上の歴史を持ち、
かつ主たる原材料が原則として100年以上継続的に使用されていることだそうです。
少なくとも100年継続してきた暮らしの一部が伝統工芸品だと言えるようです。たとえば着物は、祖母から母へ、娘へと
三世代受け継がれて愛着や想い出が織り込まれ、古くなるほど愛でられ楽しめるという優れた品物。

このような、100年以上も使われる優れたモノやコトに囲まれて暮らすというのも豊かな暮らしかもしれないと、とりやま氏。 
「ちょっと未来って、どのくらいと思いますか?2年後?5年後?一回り?」
参加者が問われました。未来観自体が人それぞれにみんな違います。たとえば2年後というと、我々には東京オリンピックくらいしか思いつきませんが、アメリカでは宇宙ステーション居住モジュールというものが運用化され、5年後にはアマゾンが月に配送し、
2026年までに火星移住計画が行われ、12年後の2030年には完全に人間の脳を模した汎用人工知能が出現すると言います。 

このような未来予測を知っているとりやま氏が考える「豊かな暮らし」とは?
「共感と信頼に時間を費やせる暮らしじゃないかと思います」これが回答でした。
豊かさの定義としては、衣食住が不足なく、インスタ映えするような生活というのにも一理はある。
けれども、豊かさとはまず安心ありきで、そのためには「共感と信頼」、つまり人間関係ありきだと思うということでした。
霊長類学者の京都大学山極壽一総長によると、共感と信頼のための人間関係を築くには、時間がかかるといいます。
「豊かな暮らしというのは、アナログなコミュニケーションにコストをかけられる暮らし」だと、とりやま氏の弁。
さらに、共感と信頼を担保する空間は、パーソナライズ空間と半公共空間にヒントがあると考えているそうです。 

現代の半公共空間、サードプレイスは、
まさに共感と信頼を担保しやすい場。


ここで3つのキーワードが提示されました。

①SNS的価値観
現在世間で流行しているカフェごはん、家飲み、ハーバリウム、家庭用プロジェクター、ゲートボックスなど、パーソナライズされた心地よさを追求するのもSNS的な価値観のひとつ。

②半公共
江戸時代から続く田の字型家屋にあった出居。縁側以上、客間未満という場所で、プライバシーを担保しながら家の外でお客様と共にあるという半公共空間。
現代ではこの半公共空間が失われ、それによってご近所づきあいも希薄化しているのかもしれないという、とりやま仮説。
ところが2年くらい前から半公共空間に復活の兆しがあるそうです。デッキにテントを張る、ゴージャスなキャンプ=グランピング、通りに食卓を設置してしまうホワイトディナーなど。
「現代人は半公共空間を外部拡張しているのではないかという仮説も成り立つかなと思っています」と、とりやま氏。

③150
150とはマジックナンバーとも呼ばれる信用数。一人の人間が顔を覚えられる数字です。
年賀状を書こうとするときに思いつく人の数だと言えばわかりやすいですね。 

とりやま氏のお話は佳境に入り、先の3つのキーワードから「サードプレイス」という言葉が導き出されました。
「サードプレイスに共通する8条件」が紹介され、それはパーソナル空間であり、半公共空間であることが明らかになります。
サードプレイスは、まさに共感と信頼を担保しやすい場ではないかという言葉で締めくくられました。 

アナログなコミュニケーションの場として、
サードプレイスが人と人を紡いでいく。

お二人のインスピレーショントークを受けて、参加者全員によるセッションが行われました。
4〜5人のテーブルに分かれたワールドカフェスタイルで対話が行われ、真ん中に「豊かなくらしとは」と書かれた模造紙に
様々な意見や考えが加えられていきました。短い時間で大いに言葉が交わされて終了となりました。 

最後に全員が輪になって、気づきや感想を短いコメントでマイクリレーしました。
おおむねみんなに共通するのは、それぞれに考えが違うという驚きであり、未来の暮らしに開かれた多様性への気づき、
そしてアナログなコミュニケーションに時間を費やすというキーワードへの共感でした。 

Think!LivingLabの筆者も同感ですが、加えて、半公共空間という考え方を再発見させられました。
耳学問ですが、人間は社会の中で生きていく生き物だと言います。
それが昨今、人間関係が希薄になっているというのは、この半公共空間が物理的に消失しかけていることに関係する。
だから今もう一度、たとえばサードプレイスのような半公共の場を取り戻すことが求められているのだなと思うのです。
そしてもう一つ、「ちょっと未来の暮らし」というテーマについて、私たちにとっての未来は、遠い未来ではなくて、すぐ目の前にある明日。
明日の私自身をどう創っていきたいのか、それこそが大事な大事なことなのではないかなと思うのです。